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劇場/又吉直樹

Category : 一般文芸
読書レビューで、
「これは自分のために書かれた小説だ」という節のコメントされてんのを見ると、いやいや、手前だけのために作家はもの書いてへんやろ。と意地悪な思いがふつふつ。物語や主人公に共感できないと酷評する人も、いやいや、人間みな、あんさんの思う通りなんかとちゃうで。と意地悪な思いがふつふつ。

(違いを認めることは、
異なる価値観を受け入れることは、
多様性を認めることで、)

スポーツ選手が一部の差別的な発言の被害にあうニュースに、心のどこかが引っ掻かれて痛む。軽いノリで他者をDisったり、嘲笑、拡散されることを面白がるネットワーク社会の一面を嘆きます。

(あー。そういう自分も他者との違いを認められてないなー。
ざらっとした言葉の裏にもその人の生活があるんだ。
受容するってむずかしいな。)

又吉直樹『劇場』読了。
これは群像劇と呼ばれる作品でしょうか。芸人又吉のキャラクターを主人公に投影させたうえで、作中で交わされる言葉たちに、読んでいて心がざわめく。それでも永田が救いを求めるように、幸せの形を探すように、読み進める。進める。進める。読み終えてのち、あほでも自分を信じていようって思えた。

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イニエスタ自伝を読みながら

Category : 一般文芸
スペイン代表のサッカー選手、イニエスタの自伝を読んでいます。

幼少期から周囲より群を抜いてその才能を発揮し、それは彼自身や周囲の大人に若くして大きな決断を迫る。スペインの強豪バルセロナの下部組織にスカウトされ、少年期の成長過程に両親と離れて暮らすことは大きな痛みを伴う。

海外の書籍を読むと思うのは、訳者の静かな筆致によるものか、人生の侘しさを感じてしまうのです。「何か」個人の力だけではどうにもできぬ大きな出来事が人それぞれにはある。そして本を読むことは自分にない出来事を、時に痛みを伴いながら体験することになる。

「本を楽しむことに、誤読をしても構わない」

本を読むにあたって、そう言っていただいて気持ちが晴れた時がありました。文章は伝えるためにあるけれども、どう感じるのかは読み手の自由に委ねられているという考え。たとえば小説を読む時、一人称視点で描かれるものは、その主人公になったように感じながら読むことがあります。

この自伝も、ひとりの才能が開花する過程を、ドキュメントタッチに、関わった多くの人物の言葉を借り、また本人談によって眺めることができます。そしてイニエスタに一方的に共感し、おこがましく思いつつも彼に自分を重ねて読む。

「天才」とは?
――という談義は数あるけれど、誰しも何らかの才能を持っているハズで、彼はサッカーをよく識る才能を持ち、それを発揮することで周囲の大人の目に留まった。そう、たぶん「大人の目」って大事だ。人は他者に認知められて初めて自分を知るのではなかったか。ちいさなことでも先生に褒められたうれしい感じって覚えている。

「センスは磨くもの。才能は開花させるもの。」
僕の好きなスポーツ漫画で描写されたシーンが思い浮かぶ。

これはイニエスタの物語であり、才能が花開く時を待つ春待ち人にとって勇気をもらえる書だ。(…なんて言い過ぎかな。言い過ぎだな、うん。)

好きだと感じた事にまっすぐに居る。

自分の気持ちをフラットに存在ると、周囲の声が綺麗に聞こえる感覚になる時があります。
ああそうだ、既成概念(こだわり)とかいう敵は我が身の中にいたんだ。

自分の気持ちに正直になるって清々しい。
そんな自分の気持ちを人に伝えるための言葉をほしいと思う。

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書楼弔堂 炎昼/京極夏彦

Category : 一般文芸


【語は呪文。文は呪符。書物は呪具。足りぬ部分を埋めるのは、貴方様でございます――。
明治三十年代初頭。古今東西の書物が集う書舗に導かれる、一人の若き女性。】(帯より)

一人称の彼女の視点で、登場する歴史上の偉人と弔堂の店主の会話に耳を傾けるように読み進めました。店主は時代に縛られぬ広い知識や見識で、「変節」する時代に、旧態と新しい考え方の間に悩む人たちに一筋の光を当てる。店主はその人だけの一冊を選び、薦める。
そんな物語。

作者の書物に対する愛のようなものを感じた一文をば、(↓)

【小説に誤読はございませんとご主人は断言されました。
「面白く読むのが何より正しい読み方でございましょう」】

読書しながら読書の愉しみ方を知る、、ふふ。
本に親しむ人はきっと共感することのできる本ではないかと思います。

「弔」の字のごとく、書舗(ほんや)に在る書籍を人に届け、それが誰かの生きる指標になればいい。作中、人の生死や死後についても言及されていますが、僕は昨年亡くなった漫画家・水木しげる先生を思い浮かべました。

書は、生き物ではないがその中には確かに時代を生きた人たちの想いがあるはずだ。
書は、この世に生きる人のための、生きる力になる物なんだ、って。

(…そうなのか。うそうそ。…言い過ぎかな。)
紙はただ紙で、文字はただの記号かもしれない。

読書について確かなことは、
読了後、穏やかな気持ちで静かに本を閉じたことです。

ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ/キルメン・ウリベ

Category : 一般文芸
「物語が分からなくても、なんだか好きでいいんだ。」

海外文学に明るい方がそう呟いてらして、よし!ってことで以前ツイッターのTLに登場したキルメン・ウリベさんの小説を借りてきた。ウリベさんはスペインのバスク地方の方で、この作品は「バスク文学の旗手による珠玉の処女小説」と背表紙の解説に記されています。

海外文学を読むことを僕はオシャレだと勝手に思っていたのですが、先述の方によるとそんなことは全然なくて、もっと世界の、海に囲まれた日本に囚われず、もっと世界情勢などについて考えるべきなのだと言います。とはいえ固く考えずに、いろんな海外作品を読むことでそこに住む人たちのことを知るという楽しみが海外文学にはあるそうです。



スペインサッカーを好む僕には、アスレティック・ビルバオの国王杯優勝パレードや、サッカーのビデオゲームがふとしたところに描写されていてテンションあがりました。
そして、作中ずっとなにげなく読んでいた地名が、『北海とバルト海が合流するデンマークの岬、スケーエンは二つのことで知られている。一つはその地名を冠したデザイン時計だ。』――と読んだところで、アッ、持ってた!Skagenの腕時計!テンションあがりました。



国内ミステリを好んで読んでいたけれど、最近は少し距離を置いています。重いテーマの本も。そして、海外文学は敷居が高いと感じていましたがとんでもない。訳者の丁寧な言葉はむしろ心地いい。そして、物語が分からなくても、なんだか優しい気持ちで読了しました。

あの子の考えることは変/本谷有希子

Category : 一般文芸
純文学は思考の渦に呑まれるように自分でない意思が発動するように一気に読んでしまう。

芥川賞作家の本谷有希子、『あの子の考えることは変』

きっとあの子は変で、
一緒に居るあの子も変で、
そんな彼女らをどこか他人事でなく感じている僕も変だ。

グルーヴ先輩ほどではないけれど、感情を抑えきれずに自分の意思なんて何だろ?ってくらい既成概念のようなものに自分の頭が支配されるような感じになることある。自分は馬鹿なんじゃないかってくらい煩わしい考えに振り回されるようになることある。

本谷さんを読みはじめると一気に読み切ってしまった。
いろいろ考える隙間もないくらい文字を追っていた。

煙突を登る彼女らを追い越して自分は飛び降りるくらいぶっとんだ感情で読了しました。

こんな読後感も悪くはない。

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ヨースケ

Author:ヨースケ
Blood:B
Cycle:亥
Delight:読書/弾き語り

時々気が狂いそうになることもございますが、おおむね温厚です。

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