2023
11/07
19:50
ビブリオバトル2023
Category : 日常的雑記

読書の秋。
先日は図書館イベントに参加しました。
ビブリオバトルにバトラーとして参戦。
京極夏彦の『鵼の碑』をプレゼンして参りました。
ビブリオバトルとは、バトラーが5分という限られた時間で好きな本を紹介し、質疑の時間も含めて聴衆が読みたいと思った本に投票し、得票数の一番のチャンプ本を選ぶというもの。緊張。人前で話す機会って、私はそうそうないのです。話をいい加減に聞かれるのは本意でないが、しっかり耳を傾けて聴かれるのも緊張感がある。本好きな人は、人の言葉もよく理解しようとする姿勢がある印象です。否定も批判もしないのがルールです。【正しい↔誤り】で他者を判じようとしないのは社会福祉の原則にも云えることです。尊重。みんな解ってることだけど、それをできているひとは少ないのでは?
京極の新作のプレゼンは楽しくできました。
なにより、この本のヴィジュアルが興味を引くモノです。
モノ。ほんと本がモノだ。
単行本サイズは1280頁。厚さ6.5㎝。重さ1.2㎏ある。

京極作品は妖怪小説と云われている。しかしお化けは登場しないし、そもそもお化けは存在しない。それを妖怪小説たらしめているのは作品が妖怪的な不穏を感じさせるから。鵼(ぬえ)と云う妖怪もわけがわからない。頭が猿で胴体が狸、手足が虎で尻尾が蛇なんて生き物は存在しないのです。存在しない、というのがこの小説の味噌かもしれない。
舞台は昭和二十九年の日光。徳川家康が祀られている日光東照宮のある土地を舞台に蛇の章、虎の章、貍、猨、鵼の章ごとに登場人物の視点が変わりながら話が複合的に混じる。物語終盤にみえてきた事件の全体像が京極堂により真実が明らかにされると、想像以上の驚きがあります。
本作についての著者対談で「読書は旅行のようなものだ」と京極さんは話しておられました。読了し、我が家に帰ってきて「なんだか楽しかったナア」と思えたのならそれでいいのです。この小説を読み、昭和二十九年の日光ミステリ旅行へと出かけてみませんか?
――という旨のスピーチをして参りました。
ではでは。